◆ 毎回、これからの変化のきっかけにつながるかもしれない保育に関する様々な事柄を取り上げながら、独自の視点から分析します。
文字通り「保育ニュースのたまご」という意味で、今年1年間を展望して保育政策で大きく動き始めると考えられる3つの“たまご”(課題)を考えてみたいと思います。
それは、「保育DX」「保育機能の維持・確保」「保育の質の向上」の3つです。
まず「保育DX」については、保育業務ワンスオンリーと保活ワンストップという2つのDXを中心に、ICTも含めて保育現場に広く浸透し始めると考えられます。
広い意味での保育DXには、ICTの活用による園務や保育業務の省力化や効率化、高度化、それに伴うノンコンタクトタイムの確保など保育現場の業務の刷新、生成AIによる抜本的な業務改革や保育の質の向上への寄与といった多様なものが含まれます。
そう考えると、2025年度から始まった経営情報の見える化(ここdeサーチへの報告・届出の義務化)や、こども誰でも通園制度の実施に利用する総合支援システムの導入も、保育DXの一環と言えます。
総合支援システムの導入については、既に100を超える市町村が利用していますが、こども誰でも通園制度が2026(令和8)年度から本格実施されることに伴い、飛躍的に利用自治体が増えると予想されます。経営情報の見える化も、8割程度の施設・事業所がネット上から報告・届出を行っており、来年度から報告・届出を行わない施設・事業所は、公定価格において減額調整を受けることになりますので、利用率はさらに上がると見込まれます。
保育業務ワンスオンリーと保活ワンストップについては、2026(令和8)年度から試験的な運用を開始し、その運用状況を見ながら改修を行い、2027(令和9 )年度以降の本格運用を目指します。向こう5年以内には相当数の利用が見込まれます。
こうした動きに対応するためには、各施設にICTシステムが整備されている必要がありますので、施設レベルでのICT導入と実際の利活用がさらに進むと予想されます。そのことがまた、生成AIの活用も含めて、新たな保育DXの進展につながるのではないかと考えられます。
「保育機能の維持・確保」については、2つの方向性が想定されます。1つは人口減少地域における保育機能の維持・確保、もう1つは多様なニーズへの対応と多機能化です。
人口減少地域では、教育・保育施設の統廃合や再編、合併・事業譲渡等が進むと同時に、より厳しい地域では施設閉鎖も進むと予想されます。そんな地域であっても、保育機能を維持・確保することが重要になりますので、合併・事業譲渡や法人連携、施設閉鎖を円滑に進めるための規制緩和や様々な支援策が、これから打ち出されていくことになりそうです。
多様なニーズへの対応と多機能化も重要な課題になります。発達障害を含む障害児保育の一層の拡充や医療的ケア児・外国籍の子どもへの対応など、人口減少地域であっても多様なニーズは存在しますので、それらのニーズに対する保育機能の維持・確保という観点からも、機能の拡充が期待されます。
同様に、乳幼児に対する機能だけでなく、放課後児童クラブや児童発達支援事業、子ども食堂など、より対象を拡げた多機能化も重要な課題になります。政策的には、単なる財政措置や規制緩和にとどまらず、それぞれの機能が相互に補完されたり、相乗効果を生むような多機能化のあり方を検討したりすることが求められます。
「保育の質の向上」については、職員の処遇や配置の改善といった質に対する従来の間接的な取り組みに加えて、評価スケールを活用した第三者評価の導入や保育の質の見える化、ミドルリーダーを活用した地域全体の保育に質の向上など、新しいアプローチに対する模索が始まろうとしています。
2027(令和9)年度には新しい『保育所保育指針』『幼稚園教育要領』『認定こども園教育・保育要領』が改定・告示されますので、より共通化が図られたナショナルカリキュラムとも相まって、保育の質の向上に対する新たなチャレンジが始まるのではないかと思います。
これら3つの課題が絡み合いながら、今後の保育政策は新たなステージを目指していくことになるのではないでしょうか。
★「保育ナビWebライブラリー」保育のいまがわかる!Webコラム 吉田正幸の保育ニュースのたまご vol.140(1月15日号)で配信した記事です。
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