◆ 毎回、これからの変化のきっかけにつながるかもしれない保育に関する様々な事柄を取り上げながら、独自の視点から分析します。
第2次高市内閣がスタートしましたが、与党が絶対安定多数を確保したことから、衆院解散は当面行われず、長期政権になる可能性が出てきました。このことは、今後の保育政策や子ども・子育て支援政策にも影響してくると考えられます。
首相の在職日数を見ると、前の石破内閣は1年あまり、岸田内閣は約3年、菅内閣は1年あまりでしたが、今回は、安倍内閣に引けを取らないほど続きそうな状況です。
そう考えると、高市内閣における保育政策の方向性や力の入れ具合が気になるところです。これに関して、岸田内閣や石破内閣の特徴を簡潔に言えば、次のようなポイントを挙げることができます。
◇岸田内閣
・キーワードは「次元の異なる少子化対策」
・保育政策の軸は「こども未来戦略」
・具体的には配置基準の改善、さらなる処遇改善、こども誰でも通園制度の創設など
◇石破内閣
・キーワードは「地方創生」「静かな有事」
・保育政策の軸は「待機児童対策から質の向上へ」「人口減少地域での保育機能の維持」
・具体的には「地方創生」「人材戦略」の中に埋め込まれているものが多い
これに対して高市内閣は、全閣僚に対する指示書や施政方針演説を見る限り、次のような特徴が垣間見えます。
キーワードは「静かな有事」「強い経済」で、保育政策の軸について直接的な言及はあまりないものの、具体的な取り組みとしてはベビーシッター等の利用促進に向けた負担軽減や病児保育の充実などを挙げているほか、「こども誰でも通園制度」の本格実施や保育士の処遇改善などにも言及しています。
強いて言えば、従来の福祉的支援に軸足を置いた政策より、全世代型社会保障制度や投資(民間活力)、強い経済による若者の所得増、労働供給拡大などの政策の中で、保育政策も捉えていくのではないかと想像できます。
少子化対策としては、少子化・人口減少を「静かな有事」と位置づけ、少子化傾向を反転させるための対策に引き続き取り組むと同時に、人口減少を前提としつつ、それに対応した社会経済の再構築を推進することになりそうです。
また、地方創生の推進や「地域未来戦略」の推進、人口急減地域への支援強化、人口減少・少子高齢化等に対応した地方自治の在り方についての総合的な検討、国から地方への権限・財源等の移譲促進など、地方分権のさらなる推進にも力を入れる考えを示しています。
この地方分権の推進は、今後の保育政策の行方にも影響を与えそうです。こども家庭庁が示した今後の保育政策の方向性と絡めてみると、例えば、人口減少地域の保育機能の確保・強化、その一環としての合併・事業譲渡等、さらには多様なニーズに対応した保育の充実、保育DXやICTなどデジタル化の推進といった政策課題が挙げられています。
保育政策への影響を少し踏み込んで想像してみると、保育施設等の統廃合や合併・事業譲渡などの加速にととまらず、地域の拠点となるハブ型総合施設と小規模の分園型施設で構成される「ハブ&サテライト型再編」や、単なる統廃合を超えた公立施設の再構造化(統廃合+公設民営化・民設公営化+こども園化・複合施設化など)、民間委託の拡大といった 2040年を見据えた再編圧力が強まっていくかもしれません。
ただ気掛かりなのは、少子高齢・人口減少が進む中での地方分権推進は、市町村間の格差拡大につながる大きなリスクがあることや、養成段階から保育人材の確保が困難になりつつあるというボトルネックです。
言い換えると、保育を地域の重要なインフラと位置づけ、保育人材をエッセンシャルワーカーとして処遇することができるかどうかが、今後の保育政策を占うカギとなりそうです。
★「保育ナビWebライブラリー」保育のいまがわかる!Webコラム 吉田正幸の保育ニュースのたまご vol.143(3月1日号)で配信した記事です。
★「保育ナビwebライブラリー」では、1か月早くお読みいただけます。

