◆ 毎回、これからの変化のきっかけにつながるかもしれない保育に関する様々な事柄を取り上げながら、独自の視点から分析します。
2026(令和8)年度から「こども誰でも通園制度」(乳児等通園支援給付)が始まります。こども家庭庁では先ごろ、第3回「こども誰でも通園制度の本格実施に向けた検討会」を開催し、検討会の取りまとめ案を示すとともに、この事業の公定価格や手引きの改訂案、研修などについて、基本的な考え方が明らかにされました。
それによると、最も関心の高かった利用可能時間については、今年度と同じ月10時間を上限とすることとし、市町村によって待機児童や人材確保等の状況が異なることから、2026(令和8)年度・2027(令和9)年度の経過措置として、「自治体が条例で利用可能時間を3時間~10時間未満の範囲内で設定可能」としました。
また、公定価格(単価)については、「必要な人材を確保し、しっかりと運営できるものとなるよう設定する」との観点から、今年度の単価より引き上げるとともに、保護者支援の充実などを図るため、従来の加算のほかに新たな加算を設ける考えを示しています。
具体的には、子ども1人・1時間当たり単価として、0歳児が1,700円、1・2歳児が1,400円に設定され(今年度の補助単価より300~500円増)、保護者が支払う利用料標準は、今年度と同じ300円とされています。
ただし、利用料については、「給食代・食材費、通園バス代、文房具代等の実費に加え、事業所の取組に応じて必要な額を徴収すること」を可能とするとされています。
また、加算に関しては、障害児加算が600円、医療的ケア児加算が2,500円、要支援家庭のこども加算が600円と、それぞれ100~200円引き上げられたほか、保護者との面談を促すための初回対応加算(事前・事後面談)や保護者支援面談加算をはじめ、生活困窮家庭等負担軽減加算、賃借料加算、離島や山村地域等への特別地域加算など、新たな加算が創設されることになりました。
このほか、子どもたちの安全と安心を担保し、質の高い事業とするため、子育て支援員研修に新たな研修コースを創設することとしています。これにより、この事業に従事する職員(保育士以外の者)は、新コースの修了を要件として課すことになります。ただし、当面は一定の経過措置期間を設けることになります。
総じて言えば、おおむね予想された内容のものでしたが、子ども1人当たりの時間単価については、十分とは言えないまでも加算を含めて一定の財政措置ができたと言えるのではないでしょうか。
ただ、「こども誰でも通園制度の実施に関する手引」(改訂案)でも示されているように、「その意義は、一時預かり事業のように、いわば『保護者の立場からの必要性』に対応するものとは異なり、こどもを中心に考え、こどもの成長の観点から、(中略)まさに『こどもまんなか』の政策である」ところに大きなポイントがあります。
しかし、残念ながら(個人的には)、こども誰でも通園制度において乳幼児に提供する“営み”は、学校教育法や児童福祉法における「保育」ではありません。「手引」(改訂案)では、「月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず保育所等に通園できる仕組みとして創設されたもの」と表現しています。法令上は、児童福祉法において「乳児等通園支援事業」、子ども・子育て支援法において「乳児等のための支援給付」として規定しており、これを法令上・制度上どう呼べばいいのか、必ずしも明確ではありません。
未就園児家庭は、一般的には子どもと養育者が一緒に家いる在宅子育て家庭ということになりますが、家庭養育があれば保育は必要ないという時代ではないと筆者は考えています。関係性の貧困や経験の貧困が叫ばれる今日、家庭養育の有無や程度にかかわらず全ての子どもに健やかな育ちのための保育を保障する必要があります。
こども誰でも通園制度が、これまでエアポケットのように見過ごされてきた3歳未満の未就園児の育ちに光を当てるものであるならば、その営みを「保育」と捉えることで、新たな保育の世界が見えてくるのではないでしょうか。
★「保育ナビWebライブラリー」保育のいまがわかる!Webコラム 吉田正幸の保育ニュースのたまご vol.139(1月1日号)で配信した記事です。
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