執筆:青山誠
事例:上町しぜんの国保育園
上町しぜんの国保育園の運動会、4,5歳児はミーティングで子どもたちが種目を決めていきます。考えるポイントは3つ、「自分がやりたいこと」「みんなができること」「見ている人がわかること」です。保育者の井上さんが子どもたちに「まずは自分がやりたいことをどんどん挙げてー!」と言うと子どもたちからどんどん声が上がりました。
・リレー
・パンくい競争
・氷砂糖競争
・つなわたり
・釣り
・踊り
・歌
・ライブ
・ぬいぐるみとり競争
・風船を針で割る競争
・風船にヒモとタイヤをつけて競争
・どろぼうごっこ
・おえかき競争…etc
パンくい競争から派生して、おせんべい競争、氷砂糖くい、なんかが出てくる。
Rさん「んー、かね、ぬすみたい」
一瞬なんじゃそりゃ、とびっくりする発言。けど聞いてみる。
井上「ちょっとワルイことしたいってこと? イッシッシ…! みたいな? それともお金が欲しいの?」
Rさん「ひゃくまんぐらいほしい」
「ほうほう」と言いながら、紙に「ひゃくまんほしい」とお金の絵を描く。
Uさん「まえのうんどうかいと、ちがうやつがやりたい」
Yさん「おこづかいもらう」
Iさん「しょうがいぶつりれー」
「しょうがいぶつって、何?」と聞いてみると、「えっとね……」とIさん。横からKさんが「はしってじゃんぷしてとびこえたりするやつ!?」と教えてくれる。「そうそう!」とIさん。ほかにもたくさん出てくる。
・ようがんゲーム
・海マグマゲーム
・お茶飲み競争
・枝豆競争(お茶をたくさん飲む、えだまめをたくさん食べる、そしたら走る、ということらしい)
・走って、勝った人が金メダルもらえる
Iさん「おだいりれー。もんだい。『なんかをとれ!』って」
井上「あー! こういうこと? 『いろえんぴつをとれ!』だったら、探して、見つけた! 走ってゴール!」
実演して、Iさんの思っているアイデア通りか確かめる。
Tさん「つなひきやりたい!」
見たり、聞いたりしたことのあるものはもちろん、ほかの人のアイデアに足したり、ちょっと変えてみたり。「まえにやったことないやつがやりたい」って、Rさんだけではなくほかの子も思ったりするのかな。
リレーについては「ぜったいやりたい!」と「ぜったいやりたくない」の声があがっていて、ほかのアイデアも意見が割れている。どれもこれもやってみないとわからない。やってみたら、楽しいかもしれないしイマイチかもしれないし。またアイデアも膨らんでいくだろう。『やってみる』をたっぷり一緒にやっていきたいな。さて、どれから手をつけようか……。大人も楽しむ気持ちを大事にしたい。子どもを追い越さないで、足早にならないように気をつけていきたい。(井上記)
子どもが考える運動会。時にはおとなが驚くようなものも出ますが、子どもの意見を否定しないことが大切です。そうしないとアイデアを出すのは子ども、決めるのは結局おとなとなりがち。とはいえ、おとなはスケジュールも頭に入っていて、どうしてもまとめたくもなります。そこを井上さんはグッと堪えて「楽しむ気持ちを大事にしたい」と書いています。これは保育者が子どもの遊びの中に入って、子どもの時間を共に生きようという決意表明でもあります。形やめばえにこだわらず、子どもといかに豊かな時間を紡いでいけるか。保育のはじめの一歩にして、常々振り返っていきたいですね。
イラスト:ナガタヨシコ(https://www.instagram.com/nagata445)
<編集部より>
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