執筆:青山誠
事例:上町しぜんの国保育園
ミーティングって子どもとの対話です。もっとざっくり言うと、子どもの声を聞いて、子どもと共に保育をつくることです。でもそれって具体的にはどういうことでしょうか。それは子どもの言い分ばかりになったり、おとなが計画してはいけないってことでしょうか。今回は石上さんの事例から、そのあたりの実際を見てみましょう。
今日は4歳児を中心に味噌を作った。朝、保育者からも声をかけてもらったけれど、何人かの子たちが「やりたくない!」と結構な勢いで言ってきた。でもまあやってみたらかなり楽しんでいた。私は「何でかな」と思ったので、そのことをミーティングで聞いてみたいと思った。
石上「みんなに聞きたいことがあるのよ。今日お味噌を作ったでしょ。みそみそって歌ってさ。これからお味噌作るよーってお誘いしたら、嫌だって言う人がいたわけよ。やりたくないって。みんなに聞きたいのは、そんなに大人に誘われるのって嫌だ?」
子ども「いやだ」
石上「それはなんで?」
子「きゅうにいわれる」
子「あそびのとちゅうにいわれる」
子「ミーティングかなっておもった」
子「さんぽにいきたかった」
子「もうちょっとで(なにかが)できるときにいわれる」
Eさん「おこられる」
Iさん「うーたんとカニで遊んでたから」
Tさん「おれはべつにいくけど」
石上「たしかに急に言われるのは嫌だと思うからさ、ちょっと前にそろそろやるよーとか、朝のおやつの時に言っておいたつもりだったんだけど」
「しらなかった」「きょうくるのおそかったから」など声があがる。
石上「たしかに知らなかったら嫌か」
子「そうだよ」
石上「みんなからして、急って思わない誘われ方ってある?」
子「かいたら? きょうはミーティングですとか」
子「4さいとか、みそとか、どこのへやでとか、かく」
Sさん「ママにいっておいてくれたらいい」
Mさん「でんしゃにのる」
Iさん「たのしいですっていう」
石上「たしかに! 電車に乗りまーす!だったらくる?」
子「くるー!」
石上「楽しいですって言ったらくる?」
子「うんうん」
Oさん「ミーティングをおやつのあとにしたら?」
Sさん「ゆうがたは?」
石上「なんでお昼なのよってことね」
Tさん「だってつくってるとちゅうにミーティングなんだもん」
そのあと、子どもたちと夕方にやったらどうなるかをわいわい話して、この日のミーティングを終えました。
子どもにとっておとなのお誘いは急なのかもしれない。もっと子どもに丁寧でなければいけないとも思う。前日のお誘いもそうだし、当日の朝の誘い方もそうだろう。または子どもが言うように、今日は何があるよということがわかるシステムがあってもいいのかもしれない。赤い旗があれば5歳、青だったら4歳とか。わからないけれど子どもの声に謙虚にならないといけないと思った。(石上記)
子どもたちの言うことはすべて「ごもっとも」。なぜおとなの誘いが「急で、嫌なのか」、子どもはおとなにどうしてほしいのか。ストレートに言葉で伝えてくれました。それを受ける、石上さんの保育者としての「たたずまい」がなんともいいですね。暗くなりすぎず、でも真摯にフラットに、子どもと対話しています。子どもたちにとって石上さんが本音を出していい人であることも伝わってきます。子どもと保育をつくるって、こうした風景を言うのではないでしょうか。おとなの都合ばかりでもないし、子どもの言いたいことを受け入れるばかりでもない。今回は私たちおとなが子どもに一本取られました。
イラスト:ナガタヨシコ(https://www.instagram.com/nagata445)
<編集部より>
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