◆ 毎回、これからの変化のきっかけにつながるかもしれない保育に関する様々な事柄を取り上げながら、独自の視点から分析します。
松本文部科学大臣の諮問を受けて、文科省の中央教育審議会が第5期教育振興基本計画の策定に向けた検討に入ることになりました。この計画は、幼児教育から初等中等教育、高等教育までを視野に入れた我が国の教育政策の基本的な方向を示す重要な計画です。
第1期計画から現在の第4期計画までの流れを見ると、幼児教育に関する政策的な変遷を読み取ることができます。しかし、次期計画においては、少子高齢・人口減少社会を迎えたなかで、さらに大きな転換を迫られることになりそうです。
次期計画は、2年後の2028(令和10)年度から始まりますが、第5期計画策定に向けた諮問内容を見ると、これまでの幼児教育政策の単なる延長線上にはない、新たな課題を踏まえた方向性を読み解くことができます。
特に大きなポイントは、諮問文にも書かれているように、次のような点にあると考えられます。
◆ AI時代への対応をはじめ特に現行計画策定以降の情勢変化に着目して2040年以降の社会を捉え直し、教育政策全体について総合的に検討すること
◆ (人口減少・少子高齢化の進行を踏まえて)持続的な地域コミュニティの形成にも資するよう、地域における教育の維持・活性化や、教育へのアクセス確保を図ること
◆ 調和と協調を重視する「日本社会に根差したウェルビーイング」を基本として、その更なる向上を図ること
つまり、次期計画は、「持続的な地域コミュニティの形成」「地域における教育の維持・活性化」「教育へのアクセス確保」「日本社会に根差したウェルビーイング」といったキーワードに表される社会の変化に対応できる教育政策を目指すことになります。
これらのキーワードを手掛かりに、これまでの計画の変遷も踏まえながら、次期計画における今後の幼児教育の方向性を考えてみたいと思います。
これまでの教育振興基本計画(第1期~第4期)における幼児教育政策の変化を概観すると、次のように捉えることができます。
【第1期(2008(平成20)~2012(平成24)年度)】
幼児教育の重要性と幼児教育の推進
【第2期(2013(平成25)~2017(平成29)年度)】
幼児教育の充実、幼保一体化、新制度への対応
【第3期(2018(平成30)~2022(令和4)年度)】
幼児教育の質の向上、無償化、幼児教育センター推進
【第4期(2023(令和5)~2027(令和9)年度)】
施設種別を超えた幼児教育、幼保小の接続
こうした流れを踏まえつつ、第5期計画では、「予測を上回る人口減少・少子高齢化の進行」を前提に、施設種別を超えた幼児教育機能の維持・確保・充実が重要な課題になると思われます。
来年の改訂(改定)・告示が予定される3要領・指針の検討内容を見ると、単に施設種別ごとの要領・指針の整合性を図るというレベルの問題ではなく、幼稚園・保育所・認定こども園を全て幼児教育施設として一元的に捉え、そこに共通する質の向上を図ると共に、小学校教育(高校までを見通した一貫した教育)との接続を総合的に強化するという方向性が見えます。
そう考えると、政策の単位は、「幼稚園」⇒「幼稚園+保育所」⇒「幼稚園+保育所+認定こども園」⇒「全ての幼児教育施設+小学校」へと拡張し、個々の施設ではなく機能として政策を組み立てる時代になったと言えます。「幼稚園」という施設レベルで幼児教育を考えるかつての政策から、「どの施設を利用していても、すべての子どもに質の高い幼児教育を保障する」政策へ転換したと言い換えてもいいでしょう。
それに加えて、「人口が減少する中でも、地域の子どもに質の高い幼児教育をどう保障するか」という、幼児教育の提供体制のあり方が重要な政策課題になると考えられます。その際、既にこども家庭庁でも検討しつつある多機能化や連携・協働、合併・事業譲渡、統廃合など、幼児教育機能の維持・確保・充実が大きなテーマになると予想されます。
★「保育ナビWebライブラリー」保育のいまがわかる!Webコラム 吉田正幸の保育ニュースのたまご vol.156(9月15日号)で配信した記事です。
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