コラム

2026 コラム6 Tちゃんはおねえさんだから(Tちゃん、3歳)

執筆:青山誠 
事例:上町しぜんの国保育園

 前回のエピソードでは、3歳の子の友だちとの間での気持ちの揺れ動きについて書きました。今回も3歳の子の葛藤を見てみましょう。私たち上町しぜんの国保育園では0歳から5歳児まで、異年齢グループで過ごしています。自分よりも大きい子とも、小さな赤ちゃんとも日常的にかかわります。そんな中で子どもたちは「大きくなる」ことをどのように感じているのでしょうか。

 前半部分のエピソードからは、保育者が求める姿(ご飯は残してほしくない、声をかけたら集まってほしい)に沿うことが「大きくなること」と、Tちゃんが思っている様子も感じられます。宮本さんも書いている通り、ここは保育者として重々気を付けないと、子どもたちが「大きくなる」気持ちを、ある意味おとなが利用して、おとなにとって都合のいい姿を子どもに押し付けることになりかねません。そうなってしまえば、この先もずっと子どもたちは自分の存在を他者評価に委ねていくことになりかねません。保育というのはこうした意味で、その後のその子の人生を左右しかねない、大きな責任を伴っているのです。
 一方で、Tちゃんの行動のすべてがおとなの思惑を忖度して動いているわけでもなさそうです。エピソードを見ると、大きい子たちへの憧れからその振る舞いを真似したり、小さい子への自然な慈しみからケアとも呼べる行動をしたりしている様子も見られます。こうした姿を過度に褒めてしまえば、それもまた他者評価依存へとつなげてしまいかねません。子どもと一緒に暮らしながら、大きくなることへの期待とうれしさも、自然に受け取っていけたらと思います。



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