◆ 毎回、これからの変化のきっかけにつながるかもしれない保育に関する様々な事柄を取り上げながら、独自の視点から分析します。
SNSやICTなどデジタル化の波が押し寄せているなか、個人情報についても丁寧かつ慎重な取り扱いが求められています。こうした状況を反映して、このほど個人情報保護法が改正され(個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(改正個人情報保護法))、7月17日に公布されました。改正法は、2年以内に施行される予定です。
この改正では、デジタル化を含む情報リスクに適切に対応するため、「子供の個人情報の取扱いに関する規律」が新たに設けられ、16歳未満の子どもに関する個人情報保護が強化されることになります。
施行は2年以内とされていますが、これまでの経緯を勘案すると、2028(令和10)年4月から施行される可能性が高いと見られています。認定こども園や保育所、幼稚園など保育現場においては、それまでに改正法の子どもにかかわる内容やポイントを確認し、理解した上で、園児の個人情報等に関するルールや規約などを整備することが求められます。
特に、園児の顔写真や動画などをホームページに掲載したり、園だよりに載せたりするケースが多いと考えられるだけに、個人情報保護の観点から取り扱いのルールを定めて、重要事項説明書の見直しを進めるなど、様々な対応を検討すると共に、職員にもその趣旨を十分に理解してもらう必要があります。
具体的には、入園時の個人情報をはじめ、発達の記録や写真・動画、ICTアプリ登録内容などが対象になると考えられます。入園に際して重要事項説明書の作成や保護者への説明・同意は既に行われていると思いますが、改めて個人情報に関する諸規定やルールなどを整備し、「誰が何の目的で、どこまで利用するのか」を明確にして、保護者に周知・説明する必要があります。
身近な一例を挙げると、近年は育ちの記録や保護者との情報共有を目的として、保育中の園児を撮影することが増えていますが、その際に保育者個人のスマートフォンやタブレットを使うことは厳禁です。園所有のスマートフォンやタブレットしか使えないようルールを設け、画像や動画のデータは園の専用サーバー(あるいはクラウド)だけに保存するようにしなければなりません。そうしたルールも明示する必要があります。
また、個人が特定できるような写真をホームページやSNS、園だよりなどに載せることも避けなければなりません。解像度の高い映像は、生成AIによって場所その他の情報を解析することが可能になっていることを忘れてはなりません。
さて、話を戻しますが、各園における個別の課題としては、入園案内や重要事項説明書の見直し、写真・動画等の取り扱い、ICTサービスの利用同意書・委託契約の確認、職員向け個人情報保護規定の整備・個人情報保護研修の実施などが挙げられます。
政府の個人情報保護委員会事務局が作成した説明資料によると、子どもに関する法改正のポイントとして、「現行規定では、子供の個人情報の取扱い等に係る事業者の義務については、ガイドラインやQ&Aにおける記載のみ」であったとして、次のような責任規定を設けた旨を説明しています。
◇ 本人の最善の利益を優先して考慮しなければならない旨の責務規定を設ける。
◇ 当該未成年者の年齢及び発達の程度に応じて、その最善の利益を優先して考慮した上で、未成年者の権利利益を害することのないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨の責務規定を設ける。
要するに、16歳未満の子どもの個人情報について、法定代理人(保護者)の関与が義務付けられることになったのです。言い換えると、園にとっては個人情報等の利用目的の通知や第三者への提供に関する保護者の同意取得が重要になるということです。
これらの対応を円滑に行うためには、2027(令和9)年度中に入園案内や重要事項説明書や入園時の個人情報・写真等の利用同意書の見直し、個人情報保護方針(プライバシーポリシー)の更新、防犯・見守りカメラの利用目的の掲示・周知、ICTサービスの利用同意書、利用状況と委託契約の確認、AI利用に関する園内ルールの整備、職員向け個人情報保護規定の整備、個人情報保護研修の実施など、様々な準備に取りかかっていただきたいと思います。
★「保育ナビWebライブラリー」保育のいまがわかる!Webコラム 吉田正幸の保育ニュースのたまご vol.154(8月15日号)で配信した記事です。
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