◆ 毎回、これからの変化のきっかけにつながるかもしれない保育に関する様々な事柄を取り上げながら、独自の視点から分析します。
こども家庭庁はこのほど、「今後の保育政策を考える会」を立ち上げ、7月14日に第1回会議を開きました。来年夏頃を目途に意見を取りまとめ、同庁が進める今後の保育政策に役立てる考えです。
同庁が進めている現在の保育政策は、一昨年12月に示された「保育政策の新たな方向性」に基づいたもので、これは2028(令和10)年度末までを見通したものです。言い換えると、2029(令和11)年度以降の保育政策について、明確な方向性は定まっていませんので、そこに焦点を当てて検討するのが「考える会」の役割ということになります。
「保育政策の新たな方向性」では、2028(令和10)年度末を見据えた保育政策として、
①地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実、
② 全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進、
③ 保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善
という3つの柱を挙げています。
2029(令和11)年度以降の保育政策は、この3つの柱を踏また上で、目指すべき成果を意識しながら、より踏み込んだ政策として実効性のある施策や事業に落とし込まなければなりません。その際、例えば「こども誰でも通園制度」の利用上限時間を月10時間以上にしようとする場合、子ども・子育て支援法や子ども・子育て支援法施行規則などの法(法令)改正が必要になります。つまり、2029(令和11)年度以降の保育政策については、法改正も念頭に置いたものになると考えられます。
2029(令和11)年度以降というタイミング的なことで言えば、子ども・子育て支援制度に基づいた地方版子ども・子育て支援事業計画が現在、第3期(2025(令和7)~2029(令和11)年度)計画に入っており、2030(令和12)年度から第4期計画が始まります。
その計画策定に向けた検討は、遅くとも2029(令和11)年度から行われますので、今回の「考える会」における保育政策の議論、及びそれを踏まえた同庁の新たな保育政策は、第4期地方版事業計画を意識したものになると考えられます。
具体的には、保育施設のダウンサイジングや多機能化、統廃合、合併・事業譲渡、撤退といったことも含めて、人口減少地域における保育機能の維持・確保・強化や、多様な保育ニーズへの対応・インクルージョンの推進、深刻化している保育人材の確保、保育業務全般におけるICT・DXの推進など、様々な現実的課題に対して、地域の特性や事情に応じた施策・事業が展開できるよう、自治体の計画策定をサポートし、後押しする必要があります。
また、「考える会」には、同庁のほかの会議とは違った特徴があります。多くの会議は、例えば保育士養成課程や障害児、経営情報の見える化、こども性暴力防止など、特定の政策目的に焦点を当てたものや、審議会(部会、分科会)のように諸施策全般の意見調整を行うものなどが大半で、会議の名称も○○検討会や○○専門家会議、○○研究会といったものが多くなっています。
これに対して、今回のように「考える会」という呼称を使って、保育政策全般に焦点を当て、自由闊達に意見を交わしながら進めていくというのは、珍しい会議運営のあり方だと言えます。
さらに、この「考える会」は、いわば公表された正規メンバーで行う会議とは別に、主として有識者で構成する会議、保育関係団体関係者で構成する会議が設けられており、こちらは非公開で進められています。7月14日に開催された正規メンバーによる会議も、前半は公開、後半は非公開で意見を交わしたようです。
席次もユニークで、メンバーと同庁の幹部が交互に座って、メンバーがそれぞれ意見を発表した後、それに対してメンバーだけでなく事務局側の幹部もコメントしたり、意見を述べたりするという、通常はあまりない運営スタイルになっています。
いろいろな意味で、「考える会」での論議がどのように展開され、それを同庁がどのように受け止め、整理し、政策につなげていくのか、今後の展開が注目されます。
★「保育ナビWebライブラリー」保育のいまがわかる!Webコラム 吉田正幸の保育ニュースのたまご vol.153(8月1日号)で配信した記事です。
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