◆ 毎回、これからの変化のきっかけにつながるかもしれない保育に関する様々な事柄を取り上げながら、独自の視点から分析します。
もうすぐ「こどもの日」です(★)。数ある国民の祝日の中でも5月5日「こどもの日」は、国民に最もよく知られ、祝い事もポピュラーな祝日といっていいでしょう。
成人の日(1月第2月曜日)や敬老の日(9月第3月曜日)などは日にちが固定されておらず、海の日や山の日、みどりの日など(筆者にとって)由来がよくわからない祝日もある中で、こどもの日は昔から馴染みがあり、わかりやすく、楽しいイメージがあります。
この「こどもの日」について、いろいろな観点から捉えると、おもしろく、不思議で、興味深いことが見えてきます。
例えば、1948(昭和23)年7月に施行された「国民の祝日に関する法律」では、第2条で「国民の祝日」を次のように定めるとして、「こどもの日」については「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」と書かれています。
「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」ことは素直にその通りだとうなずけますが、「母に感謝する」という文言が祝日法に明文化されていることは全く知りませんでした。「母に感謝する」ことはわかりますが、極論すれば「父親」は感謝しなくていいのか、なぜ「父母」とせず「母」としたのか、などといった疑問が湧きます。
これに関しては、「昔は乳児死亡率が高く、母子ともに健康であることが感謝の対象であったから」「桃の節句ではなく端午の節句をこどもの日にするのであれば、『母に感謝する』という一文を入れてほしいという女性議員の要望が法制定過程であったから」など、諸説あるようです。
ただ、「こどもの日」の趣旨に全く異論はありませんが、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」で重視している「アタッチメント」の考え方が、こどもの日に感謝する「母」だけでなく、「父」も、そして身近な大人も含めて多様なアタッチメントが尊重されるよう期待したいと思います。
一方、「こどもの日」の「こども」という言葉にも注目できます。祝日法が制定された頃、既に施行されていた法律には教育基本法や学校教育法、児童福祉法などがありますが、いずれの法律にも「こども」「子ども」「子供」という文言は使われていません(当時)。教育基本法や学校教育法では「子」という言葉が使われ、児童福祉法では「児童」という言葉が使われているだけです。
それが今日、こども基本法では「こども」、少子化社会対策基本法や次世代育成支援対策推進法では「子ども」を使い、文部科学省では同省の公用文に用いられる表記を「子供」に統一するなど、3つの標記が混在しています。
ちなみに、こども基本法は第2条で「こども」を「心身の発達の過程にある者」と規定し、子ども・子育て支援法は第6条で「子ども」を「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」と規定しています。
このほか、祝日法が制定されてから迎えた最初の「こどもの日」は、1949(昭和24)年5月5日ですが、この年は第1次ベビーブームの最中で出生数は約269万6,600人、合計特殊出生率は4.32でした。それから75年経った2024年は、出生数は約68万6,200人、合計特殊出生率は1.15となり、出生数・出生率とも4分の1近くまで落ち込んでいます。
この75年に及ぶ変化を受け止めつつ、すべてのこども(子ども、子供)の最善の利益の保障やウェルビーイングの実現を目指して、世代を超えたすべての大人が1ミリでもこどものことを考え、その総和としての「こどもまんなか社会」を創ってほしいと願います。それは、かつてこどもであった我々全ての大人の責務ではないでしょうか。
次の75年は22世紀を迎えます。その澪つくしとなる現在の人口減少社会にどう立ち向かい、文字通り持続可能な社会をどのように構築できるのか、こども政策や保育政策の動向も視野に入れながら、こどもの未来を考える──そんな「こどもの日」もあっていいでしょう。
★「保育ナビWebライブラリー」保育のいまがわかる!Webコラム 吉田正幸の保育ニュースのたまご vol.147(5月1日号)で配信した記事です。
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